抱き締めたい
		抱き締めたい
		
		
			
 クラウドを襲ったセフィロスを退けたあと、わたしはクラウドと想いを通じあわせた。
 セフィロスの残した闇を和らげるため、わたしはクラウドと交わろうとしたが、クラウドはわたしを制して言った。
「ウォーリアに抱かれたい気持ちは山々だけど、今セフィロスに抱かれたばかりだから……後日にしてほしい」
 俯きがちなクラウドの腕を掴み、わたしは言い募る。
「何故だ、闇を祓うには、光の洗礼が一番だ。何も遠慮することはない。
 それとも、セフィロスに……闇に惹かれる気持ちがあるのか?」
 慌ててクラウドは首を振る。
「そんなんじゃない! ……そんなんじゃ、ないんだ。
 俺だって、今すぐ抱かれたい。
 けど、この汚れた身体であんたに抱かれるのは、あんたを闇に染めそうで……悪い気がする」
 顔を背けるクラウドを抱き締め、わたしは耳元や項に接吻する。
 ――わたしはクラウドがいじらしくて、仕方がなかった。
 クラウドは身じろぎし、戸惑いをみせる。
「ウォーリア……」
 困惑するクラウドの唇に口づけ、わたしは彼をその場に押し拉ぐ。
 口吸いを続けながら、クラウドの衣服をたくし上げ、下着ごと下履きを半ば脱がせた。
「……あんたって、言いだしたら聞かないな」
 困ったようなクラウドの言葉に、わたしは微笑む。
「常にブレない勇者なのだろう? わたしは。
 ならば、どんなときでも挑み続けなければ」
「なんだよ、それ」
 ぷっ、と吹き出すクラウドの身体を愛撫し、わたしは彼の胸の突起に吸い付く。
 クラウドは喘ぎながらわたしに縋り付く。その姿が、とても愛しかった。
 わたしはクラウドを俯せにすると、自身の腰の防具を外して下履きをずらす。
 身につけていた布袋から水筒を取出し、クラウドのセフィロスに汚された箇所に指を入れながら水を掛けた。
「んっ…冷たい……」
 水の冷たさとわたしの指の感触に、クラウドの身体に快楽の火が点く。
「こうやって清めれば、クラウドも気が楽だろう?」
 首筋を紅く染め、艶やかに呻きながら、クラウドは頷く。
 水を注ぎながら、汚れをなかから取り除く頃には、わたしとクラウドの欲望は限界に達していた。
 早く繋がりたい一心で、わたしたちは身体を結び、切ないこころで蠢きあう。
 クラウドが闇を怖れるなら、わたしの光でクラウドを埋めよう。
 彼が不安にならぬよう、常に抱き締めていたい。
 ――光とともにあるのは、わたしだけではない。
 クラウドも、また光なのだから。
 わたしは自分の光を極まったクラウドのなかに受け渡し、深く息を吐いた。
end
*あとがき*
 この小説は、携帯サイト5000hit記念アンケートで人気が高かったウォルクラを、お題を使って拍手で連載したものです。
 ……が、お題のなかに「恐怖にこわばった身体」というのがあったので、セフィロスを絡ませたところ、ウォルクラなのにほぼセフィクラという、なんともいえない内容になりました(汗)。
 なので、短編集に収録するときに、ウォルクラなおまけもつけました。
 携帯サイトのブログにも書きましたが、クラウドがウォーリアとくっついたとしても、あのセフィロスが簡単に諦めるはずないので、続きを書けそうな終わり方になっています。
 ……なんか、自分で自分の首を絞めそうな予感(汗)。
紫 蘭
		
		
	 
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