Happy Ever After

Happy Ever After





「フリオニール、昨夜、どうだった?」

 クラウドと結ばれた翌朝、にこにこ顔のセシルが、事の成り行きを俺にこっそり聞いてきた。

「うん……かなりクラウドにリードしてもらったけど、なんとか」

 はにかんで言う俺に、綺麗な表情でセシルは頷いた。

「そうだろうな、と思ったよ。
 今のフリオニール、いい顔してるから。
 それにね、兄さんも色々協力してくれたから」


「え゛」


 セシルの度胆を抜く発言に、俺は唖然とした。




 俺は誰にも邪魔されることなく、童貞卒業できたんだと思っていた。
 が、セシルの兄であるゴルベーザが、陰ながら尽力してくれていたらしい。

 ――確かに、奴らが黙っているわけないよなぁ。

 考えれば、妨害して当然の奴らがこなかったのは、不自然なんだよな。









 夜の月の渓谷。
 恋人たちが初々しい交わりを始めようとしているなか、ふたりの男が歯噛みしつつ岩影から恋人たちを眺めていた。

「フリオニールめ、あれはわたしの下僕だというのに、主人に断りもなく童貞を捨てるか」

 杖を片手に怒り心頭の暴君を、堕ちた英雄がドスの利いた眼で睨み付ける。

「貴様がさっさと義士をものにしなかったからだろう。
 この愚図が」
「なにぃ?!
 そもそも、自分の人形に首輪を着けておかなかった貴様の不始末だろう!」

 愚弄された誇り高い皇帝は、ビシィッ! とセフィロスに杖を突き付ける。
 長刀を構えつつ、セフィロスは不機嫌に言い放つ。

「どうせ一時の火遊びだろう。
 わたしがたっぷり調教した身体だ、童貞などで満足できるはずがない。
 クラウドは程なくわたしの手の内に戻ってくるはずだ。
 あとで躾をし直すが、その前にストレスを解消しておく」
「負け惜しみとは情けないな、セフィロスよ!」

 宙に浮き上がり杖を頭上で回す皇帝に斬撃を加えるセフィロス。

 ――のはずだった。



「別れの時――さらばだ」



 ガィン! ゴォン! グァン! ガコォン!


「ウボァー」
「闇に堕ちるか……」


 横から旋回する岩飛礫で攻撃を仕掛けてきたゴルベーザのKO勝ちにより、皇帝とセフィロスの不毛な喧嘩は鎮圧された。









 ゴルベーザの苦労も知らず呑気に事を成し遂げた俺とクラウドは、満ち足りた面持ちで月の渓谷をあとにした。
 後日俺たちがゴルベーザに深々と頭を下げに行ったのは、いうまでもない。







end







*あとがき*



 この小説は、カウンタ5000hit記念アンケートで、セフィクラに次ぐ人気だったフリクラを、お題小説という形で拍手で連載したものです。


 へたれ童貞フリオが、小悪魔ツンデレクラウドと、いかに恋を成就するかというお話でしたが、まぁまぁの出来かな、と思います。
 次にフリオを書くときは、兄貴肌で男前な部分も出したいところです。


 ……で、「孤悲――花の行方」とは、微妙に繋がってないです(繋げられたらなぁ、と思うけど、無理かなぁ)。


 ちなみに、おまけのしょぼいギャグですが、一応今後書く話の伏線になってますです。

 

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