Lealtime to Paradise
いつか帰るところ
秩序の聖域で野営していたある夜中。
ひとり目を覚ましたジタンは、皆が覚醒しないよう起き上がり、少し離れたところまで歩く。
逢いたくて堪らない少女を夢に見、胸が疼いた。腰より長い黒髪をバレッタで留め、オレンジのレオタードを着た少女。
『わたくしを誘拐してくださらない?』
そう言った笑顔がとてもチャーミングで、何故か胸が高鳴った。
――ダガー。俺こっちの世界に来てから、もとの世界のことほとんど忘れてるのに、ダガーのことだけはっきり憶えてるんだ。
逢いたくて、堪らないよ、ダガー……。
彼女との間は、様々な障害が横たわっている。
一国の女王と、一介の盗賊。
テラに滅ぼされた召喚士の生き残りと、テラの駒として造られたジェノム。
ジタン自身はそれをとても気にしたが、ダガーはそれでも彼を想ってくれた。
『ジタンがわたしたちを見ていたように、わたしたちもジタンのことを見ていた!!
ジタンがわたしたちを信じてくれたように、わたしたちもジタンのことを信じていた!!
ジタンがわたしたちを守ってくれたように……。守ってあげたいの……ジタンを……』
自身がテラの死神として造られた存在と知り絶望したジタンに、ダガーはそう言ってくれた。
――俺にとって、その一言がどれほど嬉しかったか……。
俺、ダガーを好きになってよかったと、本気で思ったんだ。
この世界の戦いが、どれほど長く続くか分からない。だが、いつか帰ることができると信じている。
――ダガー、俺絶対ダガーのもとに帰るから。
ダガーの居場所が、俺の帰る場所だから。
必ずもとの世界に帰ると信じ、ジタンは笑い、戦う。
――違う次元から来た仲間とともに。
end
*あとがき*
7月7日はFF7の日〜〜! とはしゃいで小説をアップしたのはいいけれど、よく考えたらFF9が発売された記念すべき日だったんだよ! と気付き、FF9スキーとしてSSSを書いてみました。
BLものではなく、王道NLものです。好きなんですよ、ジタガネ。
エンディングの展開から、あえて彼らのその後を妄想しなくても幸せになったと思っているので、自分で小説を書こうとは思ってないです。
でも、遠く離れた異説の世界でジタンがダガーを想っているのはアリだよな〜〜と思い、書いてみました。
何げにこれも七夕チックでいいかも、と思っています(^-^)。
(この話は、2009年7月7日に執筆しました)
紫 蘭
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