Happy Ever After
構ってよ
――あぁ、イライラする。
クラウドが他人と一緒に居るだけで、どうしてこんなに苛立つのだろう。
彼は今、セシルやオニオンナイトと話していた。セシルは俺やティーダとともにクラウドと戦った仲間で、長い時間一緒にいた。
オニオンナイトはクラウドが戦う理由を見つけるため俺たちから離脱している間に、ティナとともに行動していた。
現在は十人のコスモスの戦士と合流し、皆一緒にいる。
――そうなると、事情が変わってくる。
基本、ひとと群れるのが嫌いなクラウドだが、彼の意思に関わらず他人が寄ってくる。
俺もクラウドの側に行くことが多い。
が、オニオンナイトが俺を押し退けるように横から入ってきたり、クラウドとのふたりきりを満喫しているのにセシルがふらりと話に来たりする。
側に来なくても、無口で他人に興味のないふりをしたスコールが物言いたげにクラウドを見つめていたり、ウォーリア・オブ・ライトがクラウドに変化がないのを見守っていたりする。
クラウドを相方のチョコボの代わりにしているバッツが彼に抱きついたり、それを茶化すジタンやティーダのことは、まぁ大目に見よう。
――一番の問題は、あそこにいるオニオンナイトとセシルだな。
そう思いながら固まっている三人を睨んでいると、不意にオニオンナイトが俺を振り返り、にぃっと笑った。
思わず、全身に血が回る。
――くっそぉ、俺がずっと見てたの知ってやがったな!
多分、今俺は真っ赤な顔をして怒っている。
それを確認してから、オニオンナイトは黒い笑みを浮かべ、クラウドに腕を絡めた。
――あぁっ、いいなぁっ、子供の特権発揮しやがって!
俺もあんなふうにクラウドに触れたい。
オニオンナイトが子供だから、あんなふうに腕を絡めてもクラウドは警戒しないんだ。
そういう意味では、物凄く羨ましい。
俺はじりじりしながらクラウドにべったりくっつくオニオンナイトを見ていた。
そんなとき、ちらりとセシルが俺を覗き見る。
そして、とんでもないことを言った。
「フリオニール、構ってほしいなら、クラウドにそう言わなきゃ」
瞬間、俺は固まった。
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