Happy Ever After
嫌いになんないで…
セシルの爆弾発言のお陰で、俺とクラウドは皆から離れて次元城でふたりきりでいた。
「で、俺に構ってほしいって?」
クラウドの蒼い眼が、冷たい光を浮かべている。
あぁ、情けないなぁ。大の男が、構ってほしいなんて。
――いや、俺自身がそう言ったんじゃなくて、セシルに嵌められたんだが。
にしても、それは的外れじゃなく、クラウドの側に居たかったのは確かだ。――だから、居たたまれない。
――ほんとに、格好悪いなぁ、クラウドに呆れられても仕方がない。
思わず肩を落とす俺。
突然、ぷっ、と噴き出す声が聞こえ、俺は顔を上げる。
――ク、クラウド?? 何が可笑しいんだ??
まったく訳が分からず、俺は混乱する。
クックッと笑いながら、クラウドは口を開いた。
「なに叱られた犬みたいにしょげかえってるんだよ」
「え、えっ??」
え、あ、いや、情けない俺に呆れてたんじゃないのか? クラウドは。
「目や仕草で近寄りたいって言ってるのに、全然寄ってこないからな。
本当に、好物の肉を前にお預け食らっている犬みたいだった」
あまりの酷い言い草に、俺はむっとする。
何だよ、俺はとことん犬扱いか。お預け食らっている犬って……涎でも垂らしているように見えるのか?
――え? 涎垂らして、お預け食らっている犬?
な、何、クラウドの目に俺はそう見えていたのか。
確かに、半ば当たってるし、よく観察してるな、と言いたくなるが……。
――えっ!? それって、俺が肉食獣みたいにクラウドを食いたそうに見ていた、ってことになるのか?! そ、そんなにがっついて狙っているように見えたのか?!
そ、それはそれで、大問題だ。――俺がクラウドを食いたいっていうのは、意味は違うがその通りなんだ。
――ああああぁぁぁ! やっちまった!!
恥ずかしい、もうクラウドの顔を見られない、どうしよう、どうしよう!!
「ク、クラウド、俺のこと、呆れたよな、……嫌いになったって、おかしくないよな……」
今の俺はみっともない。ずっとクラウドを物欲しげに見てたんだ。でも……嫌いにならないで……クラウド。
俯きながら言った俺に近寄ると、急にクラウドが顔を近付けてくる。
――気が付くと、俺はクラウドに口づけられていた。
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