Happy Ever After
そんなつもりじゃ…っ!!
みなが俺と別行動している間にのばらの秘密が知れ渡っていて、ほんとにびっくりした。
誤算だったのは、クラウドとティナが俺の夢の賛同者になったこと。
――クラウドが俺と一緒の夢を追い掛けてくれるのか……いいな。
いけ好かない銀髪ロン毛男にのばらを奪われたときは、そりゃもう腹が立ったけれど、そのお陰でクラウドと同じ夢を見られるんだから、痛し痒しかな。
「そのばら、育てるの難しいらしいな」
ある日クラウドが俺の手にあるのばらを見、一言告げた。
「あぁ、花を咲かせるところまでもっていくまでに枯れることのほうが多いよ」
のばらに近付けられるクラウドの顔に、俺はどきどきする。クラウドは目を瞑り、鼻腔を動かした。
酸味と甘味の交じった香に、クラウドは酔い痴れているようだ。――何だか、色っぽい。
「……いい匂いだな」
「のばらの香りには、精神を落ち着かせる作用があるんだ。
世界を平和にして一杯のばらを咲かせたら、クラウドに一輪やるよ」
クラウドのためなら、何でもあげたい。その一心で俺は言った。
俺の言葉に目を見開いたあと、クラウドはくすりと笑う。
「いいのか? 俺なんかにくれてやっても」
意味ありげに含み笑いするクラウドに、俺は首を傾げる。
「いいに決まってるだろ」
意図が分からず当惑する俺に、クラウドは目を細め薄い唇を魅惑的に釣り上げた。
「真紅のばらには、『情熱的な愛』という花言葉があるんだ」
…………え?
固まってしまった俺にふっと笑い、クラウドは仲間のいるところに戻った。
――『情熱的な愛』?
――のばら、そんな花言葉あったの?
――で、俺、それをクラウドにやると言ったわけで……。
――ご、誤解されてる?
――い、いや、あながち誤解、というわけでもない、が……。
――でも、とにかく、まずい、よな……。
「ク、クラウドっ、そんなつもりで言ったんじゃ……!」
慌ててクラウドに言い訳する俺を見る仲間の目が痛かったのは、い
うまでもない。
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