Happy Ever After

俺だって健康な男子なんだからさ。






 ――あぁ、クラウド、色っぽいなぁ……。

 俺を下敷きにして愛撫するクラウドは、とても艶っぽい。
 服をはだけさせ、胸元を可愛がりながら首筋にキスしたりして、どこでそんなテクニックを身につけたんだといいたいくらい、クラウドは男を気持ち良くさせるポイントを知っていた。

 ――いや、よく考えたらおかしいし、突っ込みどころは多々あるんだけど。

 クラウドは俺の童貞を捨てさせてやると言ったんだ。が、主導権はクラウドが握っていて、俺はただ寝転がっているだけ。気持ちいいのはいいけど、どっちが抱くんだか、まったく分からない状況だ。
 それに、確実に快楽を与えてくるクラウドの手管は、どう考えたって慣れているという他ない。
 ――つまり、俺と両思いになる前に、誰かと濃い付き合いをしたということになると思うんだが……あまり考えると、自虐的になりそうだ。
 とにかく、今の状態は、ちょっと情けない気がする。
 一念発起すると、俺の肌に口づけしているクラウドの両の二の腕を持ち上げ、俺は彼を下に引っ繰り返した。

「フリオニール?」

 目を丸くするクラウドの口に、俺は軽く接吻する。
 唇を離すと、俺ははっきりと言った。

「このままじゃ、どっちが抱くのか分からない。
 だから、ここからは俺がクラウドを気持ち良くする」

 鼻息荒く言う俺に、きょとんとしたあと、クラウドは思い切り上から目線で俺を見た。

「俺を気持ち良くするやり方、ちゃんと知ってるのか?」

 俺は少しムッとする。

 ――何か、バカにされてるような気がするんだけど。

 いや、知らないといえば知らないし……うぅん、これは男の沽券の問題なんだ。

「何となく分かる。
 さっきクラウドが俺にしたようなことを、俺がクラウドにすればいいんだろう?」

 俺の言葉に、クラウドは途端に不安そうな顔をする。

「……本当に大丈夫か?」

 強く頷き、俺は力を込めて言い切る。

「俺だって、健康で普通の男なんだ。
 抱かれるより、抱きたい!」

 クラウドの眉が、ぴくり、と機嫌を悪くしたようにあがる。

「……これからおまえに抱かれる俺は、不健康なのか?」
「い、いやっ、そういう意味じゃなくて……ゴメン、失言だな」

 慌てて俺はクラウドに謝る。

 ――確かに、クラウドだって抱かれるより抱く側のほうがいいよなぁ。

 当たり前のことを思い至らない俺は、相当舞い上がっているのかもしれない。
 ふぅ、とため息を吐き、クラウドは寝そべった。

「……いいよ、やってみろ。
 俺の服を脱がして、思い通りにしてみたらいい。
 なにかあれば、サポートするから」



 にっと笑ったクラウドに破顔し、俺は熱烈なキスをした。


 

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